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色々と、まぁ今回は本当に色々とばったばたでしたが…!
取りあえず終わりました…!終わりましたよ!
終わったって言うのはですね、脱稿したっていうことです!
脱稿したっていうことなんですよ!(大事なので二回言いました)
これで冬コミに新刊が出ます!やっほい!
あ~、今回は、ホントに今回こそは駄目だと思ったYo
金曜日の時点でほとんど諦めかけていた。
もう無理だって思ったもん。
よく頑張った!頑張ったよ、私…!
ちょっと校正があまりの眠さと頭の回転の悪さで自信がないんですが…。
ていうかホントに今回そういう点ではひどいかも知れない。
読みづらかったら済みません…。がっくり。
まぁでもずっと書きたかった話なので書き上げることが出来て嬉しいです。
あ~…。眠い。ほんっとに眠い。
入稿が済んでコンビニでファックスを送って、ジャソプを読んでお昼を食べたら寝ようと思っていたのに、業者さんが午後からいらして色々お話窺っていたら眠れませんでした。
頭痛いわ~…。
今日の頭痛は間違いなく睡眠不足やね★
一応詳細
「歪んだ王国」 1000円
A5 100P R-18
説明が難しいのでひとまず冒頭部分を折りたたんでアップしてみます。
試し読みにまぁどうぞ~。
そんなこんなであれですわ。あれ。
そうそう、「きのうから~」更新しました。のっけから色々問題なシーンですがごめんなさい。
また交互に更新できたらいいなぁと思いつつ。
ではではそんな感じで生存報告までですが~。
今日はお風呂から上がったらアフリカへ出かけるんだ!(笑)
頭痛がひどいと見ていられないかもしれんですが…。
そして明日から片付けに取りかかろう。そうしよう。
追記。
通りすがりの方!ほんとにありがとうございました!
無事新刊も上がりました~!これで冬コミ新刊無しという状況は免れました!(笑)
色々とありがとうございます~。
「歪んだ王国」
序
「はかせ、あれはなぁに?」
幼い声が抱き上げてくれている温かな腕を揺らす。
「なにか大きなものがみえるよ、きらきらひかってる」
乾いた大地には灼けた風が吹いていた。
「あぁ、やっと着いたね。あれがエデンだよ」
焦げ付く太陽と生の気配のない、不毛の大地。
「エデン?なぁにそれ?」
荒れ果てた、乾いた大地に風が吹く。
「楽園だと人はいうね」
死んだ世界にただ一つ、緑を内包して佇む円形のドームがあった。
「らくえん?だれがあそこにすんでいるの?」
ガラスで守られた人工のオアシス。不自然なまでに碧い、それは。
「そうだね。あそこには神様が住んでいるという人もいるけれど、本当はだれがいるんだろうねぇ」
死に絶えた大地の中で唯一つ、不自然に歪んで、なお、それは。
「かみさま?かみさまがすんでいるの?」
「そう、神様が住んでいるんだ、きっとね」
なお、それでも神々しいまでに美しく輝いて、生きとし生けるものを魅了してやまない。
「これからあそこで暮らすんだよ」
柔らかな落ち着いた声は乾いた大地に溶け込んで沁みた。
「はかせ、はかせとふたりで?でもぼく、かみさまじゃないよ?」
生きる物の失せた、果てしない大地に二人。
「あぁ、そうだね。でも大丈夫」
そう、大丈夫だから。おまえが心配することは何もないのだと”はかせ”は言う。
「はかせがいっしょだから?」
舌足らずの幼い幼い声が、抱き上げられた腕の中で首を傾げた。
「はかせは、かみさまなの?」
「そうじゃないけど」
本当はあそこでなくともよいのだと、知ってはいるけれど。
"はかせ"は笑う。唯一つ、たった一つの宝物を抱いたまま。
「二人だから、きっとね、大丈夫。さぁ、行こうか。」
乾いた大地に佇む人影。
死に果てた星の、歪んだオアシス。
禍々しく、美しく、神々しいまでに。
かみさま。
そこに、いるのですか?
一
「イルカ」
ノックの音とともにイルカの耳に入り込んできたのはミズキの声だった。イルカは振り向いて声の方向へと視線を巡らせる。
「そっちはどうだ?終わったか?」
手元の書類を確認しつつ問うてきたミズキにイルカは僅かばかりの溜息を吐く。
「終わったもなにも、終わるわけないだろ。そっちは?今週はどんな感じ?」
イルカの問いにもう一度書類に目を落としたミズキはうーんと言いつつ首を傾げている。
「今週はゼロだな。誰もいない」
ミズキから書類の束を渡されてイルカは思わずそれに目を落とす。書類の中の署名欄にはミズキの言う通り誰の名前もなくてイルカは持っていたボールペンで耳の後ろをこりこりと掻いた。
「全くのゼロっていうのは珍しいな。大体一人くらいはいるもんだけど…」
「ということは今週はお前一人か」
ここに来てまだ二ヶ月程度だけれど同行者がまるでいないということはほとんど無かったように思う。よりによって自分の当番の時に同行者無しとはついていない。
「だな。運が悪いというかなんというか…。ツバメさんところは?あそこ子供再申請するって言ってなかったっけ?」
子供の支給を願っているツバメ夫婦だが先々週の申請の時はエデンから却下されたのだ。再申請をするつもりだと言っていたけれどどうなっているのだろう。
「書類が間に合わなかったってよ。あとやっぱり一度失敗してるからもうちょっと間を置いた方がいいだろうっていうのもあるみたいだな」
「そういうのって関係あるもん?」
訳知り顔でそう言ったミズキに問うてみれば、ミズキはあっさり肩を竦めた。
「さぁな。そういう噂はあるけど本当のところは神のみぞ知るってとこだろ。エデンが何を基準に子供を支給してるのかオレ達下々の者には分かんないっしょ」
空調の調子が悪い倉庫内はじっとりと汗ばむような暑さである。イルカは肩に掛けていたタオルで汗を拭うと棚に置かれていたクリップボードをミズキに手渡した。
「そうだな。ま、それはさておいてだ。取りあえずそっちの薬品棚よろしく頼む」
ミズキは一瞬顔を顰めたものの、へいへいと全く真剣みに欠ける返事をしつつクリップボードを受け取ってくれた。これで作業効率は二倍だ。
この蒸し暑い倉庫内でいつまでも在庫チェックなどしていたらそのうち頭の中まで蒸し上がりそうである。チェック途中だった種の棚に目を戻すとイルカは続きから在庫を確認し始めた。
作物の出来が思うようにいかないせいか、どうにも種の減りが早い。次世代の為の種を取っておくことが難しい状況なのだ。エデンに一度相談してみた方がいいかもしれない。
そんなことを思いつつ手元のクリップボードに挟んだ紙にチェックを入れてイルカは次の棚へと体をずらす。そんなイルカにふっと後ろからミズキが声を掛けてきた。
「近頃薬の減りが早いな…。病人が多いから仕方ないけど…」
ミズキの言うように近頃病人も多い。ウィルスなどの流行によって病人が増えるのはよくあることだけれど、苦しんでいる人が多いという事実に心が痛まないわけじゃない。
「一度エデンに相談してみた方がいいかもしれないな。生産ベースも落ちてきてるしなにか根本的なところが狂ってるのかもしれない。今週はどうせオレ一人だし質問書を書いておくよ」
イルカの言葉に僅かばかり頷いてミズキは小さく笑みを浮かべた。
「マジか?頼むわ。イルカ様々だね~。オレどうもエデンの書類って苦手でさ、あんなの書いてたら肩が凝っちまう」
「お前な…。自分の当番の時は自分で書けよ。ま、取りあえずとっとと済ましちまおう」
ミズキを促しイルカはまた在庫のチェックに戻る。そうしてこのエデンに頼り切った生活にまた少しばかりの不安が擡げてきた。
この村の誰一人として疑っていないことだから口に出すことは出来ずにいたけれど、イルカはこんな風にエデンに頼り切って生きていることが恐ろしくてならない。もしも神に見放されたら一体どうなってしまうのだろうと思うのだ。
エデンがこの村をもういらぬものだと判断したら、ここに住む人間はあっという間に死に絶えることだろう。エデンに生殺与奪を握られているという事実はイルカを怯えさせるには十分だったけれど、誰もエデンを疑うものなどいないのも確かだ。
皆エデンを信じている。あそこに住まう神が自らを見捨てるなど有りはしないと無条件に信じ切っている。イルカにはそれが脆く危うい信頼としか写らないというのに。
自らの思考が異端であることをイルカは知っているけれど、どうして自分だけがエデンを信じることが出来ないのか、それは分からなかった。イルカにとってエデンはそれほど信頼に値するものではなく、それほど尊いものでもない気がする。
どうして自分だけがこんな風に思うのかそれはきっと永遠に分からないけれど、こんな風に病気が流行ったり作物の出来が悪いとひしひしと感じてしまうのだ。
自分たちの村は薄氷の上に建っていて、その氷を割るも割らぬも神の意志一つであることを。ぞわりと立った鳥肌にイルカは腕をそっと撫でて、自らの思考にゆっくりと蓋をした。
世の中にはきっと、考えない方がいいことの方が多いのだろう。
今週は平穏だ。イルカはそう思いつつ車を走らせる。ジープの後部座席を改造した荷台には何も乗っていない。生きている人間も乗っていないが死んだ人間も乗っていないというのは悪くない状況だった。遺体を乗せてエデンに行くときはかなり微妙な気分なのだ。
一人でエデンに行かねばならないというのはなかなかに億劫なことではあるけれど、遺体と一緒という状況よりはましだろう。人はエデンで生まれてエデンへと還る。だから誰かがエデンへその遺体を持ち込まねばならないのは分かっているが、どうせなら自分の当番じゃないときにして欲しい。
流れる景色は単調でイルカはゴーグルの向こうに見える風景に小さく息を吐いた。ひび割れた大地には草一つ生えず動くものの気配はまるでない。村から南に真っ直ぐ降りればエデンへと辿り着くが、西へ進んでもこの荒野が続くのみ、東と北に進めばいずれ砂漠へと迷い込むだけだ。
世界は死に絶えている。生きるものの気配は村の中にしかない。村の中と、そうしてエデンの中だけだ。エデンに住んでいるのが神だとするならば彼らは生き物の部類に入るのだろうか。
考えても仕方のないことだとイルカは息を吐いて、ずり下がってきていた口布を引き上げた。ごうごうと吹く風には砂漠から運ばれてきた細かな砂がふんだんに含まれていて、空気はいつだって白く霞んでいる。
エデンを境に南に下ればやはり広大な砂漠が広がっていて、常に砂煙の中にあるエデンの姿が遠目に確認できることは稀だった。今日もこの調子では極近くまで行かなければエデンの姿は見えないだろう。
照りつける太陽は容赦なく大地を灼き続ける。干上がる世界に最早人の住む場所はごく僅かだった。イルカの住む第十区居住エリアに住んでいる人間は三十人にも満たない。
エデンのいうところによると世界にはイルカたちの住む村のような居住エリアがまだ沢山存在しているということだったが、村と村が連絡を取り合うということなどないしエデンの言うことが本当だと確かめる術はどこにもない。イルカの知る世界に存在しているのはエデンで直接イルカたちに対応してくれる神の使者達と、自らの村に住む三十人に満たない人間だけだ。
全てを知っているくせに何も明らかにしないエデンと、その管理下に置かれ無知であることに疑念を抱かない村人達だけがイルカの世界の住人。どうして誰もエデンに疑問を抱かないのか、イルカにはそのことの方が疑問だった。
生きるも死ぬもエデン次第。彼らが気まぐれを起こせば自らが危ういというのに、どうしてその根幹部分に誰も疑問を抱かないのだろう。
イルカは二ヶ月前、第十区居住エリアに越してきた。イルカの元々住んでいた第二十八居住エリアが酷い干魃で人が住むのに適さなくなったために、住民はばらばらに別の村へ移り住むことになったのだ。
イルカはそのとき第十区居住エリアへと移転することに決まったのである。そういうことはたまにあって、ミズキも別の居住区から第十区居住エリアへと移転してきた一人だった。
だがイルカもミズキも以前住んでいた居住区の記憶はない。人が居住エリアを移動するときは、一度エデンに戻され記憶を白紙にしてから移り住むのである。
エデンがどうして記憶を消すのか、それもイルカにとっては疑問の一つだった。記憶を消す必要がどこにある。記憶を消し元の村の住人達と連絡を取り合うことが出来なくなることに一体何のメリットがあるのだろう。
沢山の居住エリアが手を携えればもっと大地の復興は早まるような気もするのに、エデンは村人達が手に手を取ってなにか事を起こすのを厭うているように思える。エデンは何を厭うているのだろう。
それともなにかを恐れているのだろうか。村人達が集まり知恵を付け、やがてエデンを攻撃するとでも思っているのだろうか。
あれほど従順なよく飼い慣らされた羊のような村人をエデンは信じていないのだろうか。だとすれば神とはなんなんだろう。自らが作り出した人間を恐れる神などいるのだろうか。
イルカの疑問は果てしない。考えれば考えるほどにイルカの中には疑問ばかりが降り積もっていくというのに、どうして誰もイルカと同じ疑問を抱かないのだろう。
共有できない思いを抱えるというのは案外としんどいものだとイルカは思った。エデンはどうしてイルカだけをこんな風に作り出したのか。イルカにも他の人達と同じように純粋にエデンを信じる心を植え付けてくれれば良かったのに。
神にも手違いはあるのだろうか。もしも自分が手違いの存在だとするならば、それが発覚した途端イルカは何事もなかったかのように世界から消されてしまうのかもしれない。
もしもそんな風にイルカが突然消えてしまっても、きっとだれもそれを疑問には思わないだろう。親しくしているミズキでさえ、きっとイルカの消失を忘れてしまう。イルカという存在自体がそもそも無かったことにされ、そうして世界は変わりなく続いていくのだ。
イルカは眼を細め、ゴーグルの向こうをじっと見つめた。砂煙の中にうっすらと緑色が透けて見えている。エデンはもうすぐ目の前だ。
生きていても死んでいてもさほど変わらぬ人生だけれど、せめて寿命が尽きるまでこの世界の矛盾に付き合おうと思った。
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